もうすぐ七夕!七夕を描いた浮世絵作品を紹介!

《名所江戸百景 市中繁栄七夕祭》歌川広重

7月7日、七夕祭りの江戸の風景です。色とりどりの七夕飾りが風にたなびく情景に、ほっこりした気持ちになります。

江戸の町では、七夕の日、家の屋上に笹の葉を立てる風習がありました。そのため七夕前になると、市中には笹竹売りの呼び声が響いたと言います。笹には短冊のほかに、瓢箪、西瓜、そろばん、大福帳、鯛などさまざまなものが飾られました。

タイトルに「市中繁栄七夕祭」とありますが、高く上がったカラフルな七夕飾りも、遠くに見える富士山も、江戸の繁栄を願う気持ちが伝わってきます。

《西瓜図》葛飾北斎

北斎が80歳の時の肉筆浮世絵です。

この絵が何を表しているのかは正確には謎ですが、近年では七夕飾りではないかという説が注目されています。

当時の日本画にしては珍しく、陰影をつけた立体的な表現がされています。

これは北斎の娘・応為(おうい)の技法に近く、彼女も手伝ったのではないかと指摘されています。

水気を帯びた和紙に、うっすらと透けるスイカの色が涼しそうな作品です。

《月百姿 銀河月》月岡芳年

幕末〜明治の浮世絵師・月岡芳年の作品で、月をテーマにした連作浮世絵「月百姿」シリーズの1作です。

七夕の日の織姫・彦星を描いたものです。

「月百姿」シリーズが制作されたのは、明治18〜25年です。この頃になると、西洋諸国から染料の輸入も進んで、水色やピンクなど江戸時代にはなかった色も見られるようになりました。

≪七夕之図≫楊洲周延

幕末〜明治の浮世絵師・楊洲 周延(ようしゅう ちかのぶ)の作品です。

こちらも明治期の浮世絵らしく、鮮やかな多色刷りで華やかです。

明治18(1885)年の作品ですが、江戸時代の風習を描いたもので、広重の作品に見られた、屋根の上の七夕飾りも見られます。

左側、手前の七夕飾りに、に筆と硯が見られますが、これは子供たちの七夕行事の一つ「硯洗い(すずりあらい)」に由来します。文章や字が上手になるよう願いを込めて硯を洗い、七夕を迎える準備をしたそうです。