白くてふわふわ、奥村土牛の兎がかわいい!(かわいい日本画)

近代日本画

奥村土牛「兎」

奥村土牛「兎」について

兎 うさぎ (1936)

奥村土牛 おくむらとぎゅう (1889 〜 1990)

所蔵:山種美術館 (公式サイト)

絵のモデルになっているのは、アンゴラうさぎです。兎のあたたかな優しい感じとふわふわ感がよく表されています。

近所に珍しい兎を飼っているお宅があるということで、土牛は何度も通って写生しました。

作者である奥村土牛は、絵の対象への思いが感じられる、穏やかで優しい絵が特徴的です。

刷毛で胡粉などを100回とも200回にわたる重ね塗りによる、非常に微妙な色加減が得意で、代表作「富士」は皇居にも飾られています。

奥村土牛「富士」
富士

大器晩成の画家、奥村土牛

土牛は、画家志望であった父のもとで10代から絵画に親しみ、東京にある梶田半古(かじたはんこ)(1870-1917)の画塾で生涯の師と仰ぐ小林古径(こばやしこけい)(1883-1957)に出会います。

院展に初入選したのは38歳と遅咲きでありながら、展覧会に出品を重ねて40代半ばから名声を高め、101歳におよぶ生涯において、晩年まで制作に取り組みました。

最後まで「絵を通して伝わって来るのは作者の人間性」という自身の言葉を体現しています。

また、「土牛」という、一風変わった雅号(画家としてのペンネーム)は出版社を営んでいた父がつけたもので、「土牛石田を耕す」という漢詩から来ています。これは「牛が、石だらけの田んぼをゆっくり耕して、やがて美しい田んぼになっていく」という意味で。まさに土牛にぴったりの雅号となりました。

80歳を過ぎてもなお、

「死ぬまで初心を忘れず、拙くとも生きた絵を描きたい」

と、晩年まで筆をとり続けたそうです。

「描く前に、鳥なら鳥、花なら花にしみじみとした愛と画心を覚えて、その気持ちでもって描けば技巧の上で稚拙であっても、いい味のものが出来ると思っている。
その気持ちが何よりも大切なのではないかという気がする。」

という土牛の言葉からも、絵の対象となる動物や植物を大切に思う気持ちが伝わってきます。

奥村土牛「聖牛」
聖牛(インドから来た牛)
奥村土牛「吉野」
吉野