【黒き猫】菱田春草が描く、猫のふわふわ感と媚びない美しさ

2021年2月21日近代日本画

黒き猫

黒き猫ってどんな作品?

黒き猫 (1910)

菱田春草 (1874〜1911)

所蔵:永青文庫 (公式ホームページ)

明治時代に活躍した日本画家、菱田春草。

岡倉天心の門下生であり、横山大観、下村観山らとともに日本美術の発展に尽力しました。
この絵の猫の部分がまさにそうなのですが、菱田春草は輪郭の線を描かない作品が特徴です。この描き方は「朦朧(もうろう)体」と呼ばれ、当時の評論家には斬新すぎて理解されないことも多かったようですが、画壇には大きく影響を与え、その後の日本画の表現に新たな可能性を導きます。

37歳の若さで亡くなってしまったため、大観ほどの名声は得られていないのですが、後の日本美術に大きな影響を与える、優れた作品を多く残しています。

「黒き猫」人気の秘密

この「黒き猫」は、第四回文展に出品された作品で、国の重要文化財にもなっています。

当時眼病を患っていた彼が、それまで出品を考えて作成していたものを放棄した後に、わずか5日間で描かれたというから驚きです。
最初の1日で背景を仕上げ、後の4日はすべて猫に費やしたそう。

猫の部分は輪郭線を描かずに、墨汁のぼかしだけでふわふわ感を表現しています。

この絵、よく見ると背景には輪郭線があり、二次元的なのに対して猫には輪郭線がなく、柔らかい立体感で今にも触れられそうな感じです。

背景の葉っぱの微妙な色合いや、猫の毛の繊細さは裏から彩色することによって表現されています。
猫には淡い墨汁を表面・裏面から何層にも塗って、毛の柔らかさ、繊細さを表現しているそうです。

では、最後にもう一度、黒き猫の大きな絵で締めくくりたいと思います。

黒き猫