ゴッホの浮世絵コレクションをオンラインで見よう!オランダの美術館が500点以上を無料で公開!
「ひまわり」で有名なゴッホですが、実はかなりの浮世絵ファンでもありました。
浮世絵をたくさんコレクションしたり、模写したり、その技法を自身の絵画に取り入れたりもしています。
そう聞くと、実際にどんな作品を見ていたのか気になるところですがなんと、
ゴッホが集めた浮世絵シリーズを、オランダのゴッホ美術館が無料で公開しています!
その数なんと500点以上にも及ぶので、日本美術ファンとしては見ないわけにはいきませんね。
ということで、ゴッホ美術館でオンライン公開中の、ゴッホの浮世絵コレクションを紹介していきたいと思います。
ゴッホと浮世絵との関わりについて
まずはゴッホと浮世絵について、さらっとお話ししていきます。
1886年、ゴッホは生活のために移り住んだパリで浮世絵と出会います。
当時の西洋画には見られない、浮世絵の輪郭線・鮮やかな色づかい・大胆な構図はかなり新鮮に映り、ゴッホは熱心に浮世絵をコレクション・研究するようになりました。
美術商をしていた弟のテオに宛てた手紙では、こんな記述もあります。
「そしてぼくが思うに、もっと陽気で幸せにならなければ日本美術を研究することはできないだろう。日本美術は、因習にとらわれた教育や仕事からぼくたちを解き放ち、自然へと回帰させてくれる。」
1888年9月23日か24日、アルルにて、弟テオあての手紙
特に、輪郭線を描く・影を描かないなど写実性にとらわれないところ、遠近法を無視した構図など、型にとらわれらない自由さに惹かれていたようです。
Webサイトがとにかくかっこいいからサイトだけでも見てほしい
本当に、これに尽きます!
さすが美術館なだけあって、Webサイトがかっこ良すぎる!
ページを読み込む度に、コレクションの浮世絵がランダムに表示されます。
読み込んだ時のアニメーションとか、絵によってはカーソルを当てた時の動きが絶妙で本当にかっこいい!
サイトだけでも見てほしい勢いです。他のページも、色が変わったりアニメーションがついていたりと仕掛けが満載なので見ていて本当に飽きません。
ゴッホ浮世絵コレクションのここが見どころ!
適当に見ているだけでも十分楽しいのですが、浮世絵を初めて見る方もさらに楽しめるように、個人的なおすすめや見どころを紹介します。
風景画
「浮世絵」といえば風景画を思い浮かべる方も多いと思います。ゴッホも日本の風景画の影響を強く受けていたようです。
上の絵は歌川広重の浮世絵とゴッホの模写ですが、当時の西洋画では雨は描くものではなく、雨を線で表す技法や、雨の日を描いた作品というのはかなり珍しかったようです。
美人画
浮世絵のジャンルの一つに「美人画」というものがあります。ゴッホは美人画の模写もしています。
こちらは渓斎英泉(けいさい えいせん)の「雲龍打掛の花魁」という作品を模写した油絵です。
ゴッホの模写ではオリジナルよりも多くの色を使い、また背景に竹や睡蓮を加えてにぎやかな感じに仕上げています。
この絵の他にも、コレクションには多数の美人画があります。
女性をモチーフにした絵は西洋画にもありましたが、描き方やポーズなどはずいぶん違ったので、きっと新鮮に映ったと思います。
桜シリーズ
個人的なおすすめでは、桜も見どころの一つです。
このコレクションでは
- 桜の木自体を中心に描かれたもの
- 人物の背景に桜が描かれたもの
- 桜のある風景
など、当時の浮世絵画家たちがさまざまな視点からの桜を見ていたこと、ゴッホもその視点に惹かれてコレクションしていたことがわかります。
ゴッホは「日本美術は自然を出発点としている」と考えていました。
ゴッホの弟宛ての手紙の中にも、自分の絵について「日本人の視点になってきた」という描写がありますが、こうした構図から、日本視点でのの見え方などを研究していたのではないかと思います。
最後に
19世紀、ジャポニズムの時代が好きです。
鎖国が終わり、日本の美術品が海外に広まっていった時代です。
単に日本が評価されていたから、というわけではなく、西洋画・日本画がそれぞれ影響しあって世界的に新しい芸術スタイルが誕生していったから好きです。
今回は日本の美術品がゴッホに与えた影響について描きましたが、逆に日本画に関する本などでは「西洋画の写実性は当時の日本画家には新鮮で」という描写をよく見かけます。
当時の画壇では、ヨーロッパでも日本でも初めて見る芸術に感動し、憧れを持ち、取り入れようと研究し、新しい芸術の形を作ろうとしていったその姿勢が好きです。
現代の私たちは、日本に生まれながらも日本美術を見る機会はほとんどありません。むしろ油絵の方が馴染みがあるのではないでしょうか。
なので、私たちが日本美術を見るときの感覚は、むしろジャポニズムに驚かされていた当時のヨーロッパ人たちに近いのではないかと思ったりもします。
日本美術は知っているようで、蓋を開けてみると全く知らないことの方が多くて面白い。
ということで私はこれからも日本美術の楽しさを普及していきます。わーい☺︎