【レビュー・書評】江戸のデザイン図鑑

2021年3月12日書評

江戸のデザイン図鑑
監修・柏木博 河出書房新社 2019-6-30

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最初に言うと本当に面白い本です!

江戸時代に作られたさまざまなデザインを、解説とともに綺麗なフルカラーグラフィックで見ることができます。

江戸時代は日本の意匠(デザイン)にとって革命期でもありました。

同じ時代に作られた浮世絵・工芸・着物などいろいろなデザインが載って面白そうだったので、この本を読む(見る)ことにしました。

内容

この本では江戸時代のデザインをカテゴリー別に紹介しています。

  • 絵画
  • 染織
  • 工芸
  • 風俗
  • 江戸の粋
  • 建築・庭園

さらに小さなカテゴリでは図鑑や和菓子、甲冑なども載っていて、1冊で江戸のデザインを網羅しているといっても良いくらいです。

どの項目も面白いですが、おそらく作者が1番力を入れたと思われるのが「江戸の粋」。

刺青・火消し・煙管(キセル)・引札・千社札・千代紙・和菓子といった江戸ならではのデザインを、時代背景とともに解説してくれています。

中でも面白いと思ったのは刺青のデザイン

刺青はもともと「入れぼくろ」から始まり、文字を刻むようになり、さらには絵、と発展していきました。

特に納得というか「なるほどなぁ〜」と思ったのが、刺青には彫る人の精神性が見えるという部分です。

日本の刺青に近寄りがたさを感じる理由、それは般若や髑髏首を背中に彫り、睨み返すことで人間のもっとも弱い部分を補完しているからだそうです。

つまりは刺青で背中を守っているということです。

これには人間らしさを感じられて面白い文化だと思わずにはいられません。

刺青の項目では他にも、浮世絵に描かれた刺青や、当時の人気モチーフなどが紹介されて見応え抜群でした。

江戸の「粋」vs「雅」の京都

本書のもう一つの見どころが、江戸と京都のデザインの対比です。

17世紀初頭、徳川幕府の開幕により政治の中心が京都から江戸に移ったことは、デザインや芸術の面にも大きく影響します。

江戸時代のデザインは、江戸と京都でまったく異なる方向性に発展していきました。

江戸では権力に対する反骨精神から自由で斬新なデザインが生まれ、一方の京都では王朝の復活を望み、格式高く洗練されたデザインが生まれていきました。

江戸時代は庶民にとっては伝統も各式も必要なものではなく、自分たちの身の回りの意匠について、自由に創造できた時代だったのである。

中略

京都に大衆を席巻するような浮世絵が出現しなかったわけ、それこそが逆に、京都が「雅」に耽った理由にもあたっていたのである。

庶民の身近な楽しみの中心となった浮世絵は江戸で始まりますが、世界的にも評価され、近代美術にも影響を与えた琳派は京都で始まります。

特に工芸の項目では、現代人が見ても美しい、琳派のデザインを多く見ることができます。

江戸・京都を時代背景とともに比較しながら見るのも面白いです。

まとめ:江戸時代のデザインを網羅していて面白い

以上!

「江戸のデザイン」書評でした。

江戸時代のデザインを一通り網羅していて面白いです。どれか必ず興味のある項目が見つかると思うし、ちょっとした大人の教養にも役立つはず。

同じように興味を持った方がいましたらぜひ読んでみてください。

江戸のデザイン図鑑
監修・柏木博 河出書房新社 2019-6-30

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書評

Posted by Yuhomyan